100周年を迎えて
谷 藤 由紀美
(昭和47年建築科卒)
 
 前日まで台風21号の影響を受け激しい雨が降る悪天候で遠くから来秋される方々が大変気になっておりましたところ、当日は抜けるような真にコバルトブルーの青空が広がる秋の天候の中100周年の記念式典が行われ、又こうして母校の大きな節目に自分が居合わせ、そして出席できた事を幸いに思います。

 「失敗したかな…」、30数年前の入学式翌日に感じた最初の思いでした。念願が叶い入学を許され、大きな期待と小さな不安に頭を大きく膨らませた私達はさっそくの先輩の若干厳しい歓迎に思いはすっかり萎んでしまいました。又、その頃は今の同窓会館のモデルになっている木造旧校舎が壊され教室棟が完成したばかり、管理棟は工事中であった為女子トイレは三階に一ヶ所という不便な状態でした。休み時間にそこに向うのは、女子がまだ珍しい時代で、ひやかし目的の先輩たちがずらーっと囲んでいる中、大変度胸のいる事でした。

 こうして「失敗したかな」で始まった高校生活は後に、かけがえのない友を得、部活や女子間でのきっちりした縦のラインを教えられ充実した思い出多き三年間になりました。
   100年間の中にそれぞれ数年間、卒業生29,000人余分の思い出がある事でしょう。明治37年の開校以来四代に渡る長い歴史には先の大戦を代表とするような厳しい時代があり、その厳しい時代をどのように過されたものか。又、私達の頃でさえ前に述べた様子です。初期に入学された女子の先輩はどのような毎日を送り、そして比べものにならない程の諸事情をどのように克服していったのでしょうか。母校の歴史を知るうえでも伺ってみたいものです。年々思い出は黄金色になりつつあります。この先も思い出と共に母校への思いを大切にしてゆきたいと思っております。

 最後に、この記念行事の為に早くからご尽力されました実行委員の方々に心から感謝致します。又、85周年記念の同窓会館に続きこの度の記念事業の1つであります多目的屋内運動場の竣工で今後のさらなる運動部の活躍を期待します。