遠藤幸雄さんを偲ぶ
遠藤幸雄さんを偲んで
体操部OB会会長 渡 辺 佐 文
(昭和25年建築科卒)
 
‘09年3月25日、私達は大きな存在を失いました。

遠藤幸雄さんが亡くなったのです。

驚くとともにご家族のご心情をお察しし、心からご冥福をお祈り申しあげます。

遠藤さんは東京オリンピックで日本体操史上初の個人総合金メダルを獲得、その他世界選手権団体メンバーの主力として、あるいは個人として数々の優勝に貢献してきました。遠藤さんは郷土の誇りであり、当時の秋田は彼の活躍に興奮し熱狂しました。現役を退いた後も体操協会の副会長、JOC理事、コーチ、総監督等体操日本のため貢献されました。

遠藤さんは日大教授として広く教育界にも大きな功績を残されています。

わが母校でも何度か講演をなされ、その卓越した話術で多くの後輩や我々に感銘を与えてくれました。

一昨年、わか杉国体時突然来秋、体操部OB仲間と駅前居酒屋でワイワイ賑やかに遅くまで語り合いました。

お店の若いスタッフに色紙を依頼されて後日届けたと聞き、その律儀さに感心させられました。 

東京での「お別れ会」にOB仲間と出席しました。

小雨の降る日でした。

森喜朗日本体育協会会長始めスポーツ界は勿論各界の著名な方々が多く見えられ、それぞれにお別れのことばを述べられました。

  少年期から今日に至るまでのこと、最後まで養護施設への寄付を続けていたこと、数え切れない日本体操界への貢献などが述べられました。

特に私が感銘を受けたのは、遠藤さんと同時代に活躍したチェコのチェフスカヤさんの弔辞でした。

可能であれば遠藤さんを偲んで仲間や後輩達と今一度聴きたい思いです。

当日は栄光の記録やわが体操部の練習風景での写真、亡くなる数日前の手記も展示されていました。判読すると、これまでのお礼のように読めました。

ここでも遠藤さんの律儀な人柄が偲ばれ、つい涙してしまいました。

秋田での「お別れ会」は去る6月、市内のホテルで行いました。当日はご遺族始め学校関係者、同窓会、県内体操関係者のご出席をいただきました。

大嶋新助先生の遠藤さんの少年時代のこと、辛い境遇をどうやって乗り越えてきたか、物心両面で支えてきた先生のお話に胸打たれ、師弟関係もここまで来れば肉親にも勝ると感じた次第です。

同窓で今も各界で活躍している多くの素晴らしい方々を、若いOBに知っていただく機会が出来ればと思いながら、遠藤幸雄さんの懐かしい栄光を偲んで心からご冥福をお祈りします。

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